冬の夜空
寒くなりました。平成最後の年末年始が近づいています。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
朝4時ごろ、遅い仕事を終え帰宅すると、我が家では、愛犬「トップ君」が尻尾を振り振りお出迎えです。散歩に連れて行くと、冬の夜明け前の寒さが身にしみます。でも、寒さだけではなく、冬だからこその楽しみもあるのです。透き通るような凍てつく空の遥か彼方には、美しい星たちが光り輝いています。星が最も美しいのは冬の夜空、特に南の夜空なんですねー。
南の夜空を見てみよう
夜の8時にもなると、南の空は美しい星たちの競演になります。
赤いベテルギウス、白いリゲルの二つの一等星、その二つの一等星の間に美しく一列に並んだ三ツ星。そうです、冬の星座の王様、「オリオン座」が中央に陣取っています。その一等星赤色巨星のベテルギウスは、全天で最も明るい恒星、「大いぬ座」のシリウス、そして、「小いぬ座」のプロキオンと手をつなぎ、夜空に巨大な正三角形、「冬の大三角」を作ります。
「オリオン」の右には、ベテルギウスと同じく赤色巨星のアルデバランが、そのアルデバランをアルファ星とする「おうし座」には、古来、日本人の間で愛され、枕草子にも書かれた昴(すばる)=プレアデス星団が輝いています。ちなみに昴って日本語なんですよ。
美しい一等星たち
「おうし座」の上の方には、一等星カペラで有名な「ぎょしゃ座」が、一方「オリオン」の左手、「小いぬ座」の上の方には一等星ポルックスとその隣に輝く二等星カストルの二人の兄弟星を持つ「ふたご座」が佇んでいます。
冬の南の空には、「オリオン」の下にいる「うさぎ座」を含めても全天88星座中7星座しか見えませんが、一等星だけで見てみると、なんと全21の一等星中7個もの一等星、3分の1もの一等星を一気に見ることができます。美しいわけですよ。
惑星たちも負けてはいない
その美しい星空に、惑星たちも彩を添えます。早朝4時ごろ、トップ君のお散歩をしながら東の空を見ると、地平線近くには全天中最も明るいシリウスよりも強烈な明るさで輝く星が。金星=明けの明星の登場です。明けの明星の右隣には「おとめ座」の一等星スピカも美しく輝いています。
今年の3月ごろには、南東の方角に木星、火星、土星が一直線に並び、赤い火星の右隣には「さそり座」の真っ赤な一等星アンタレスが並んで光輝いていました。
星空と一体になる
東京でもこれらの美しい星空が観察できるので、さぞ田舎に行けばもっと美しい星空が観察できることでしょう。と思い山の別荘で空を見てみると、落ちてきそうなくらい近くに星星星星ばかり見え、まったく星座なんてわかりません。一等星も一体どれだか?
星座観察は、東京の方がいいみたいです。ただ、田舎に行くとあまりの多くの星空のおかげで、自分も星空と一体になっていくような錯覚にとらわれてしまいます。自然の素晴らしさを感じます。
知的好奇心
さて、ここまでお読みになった方、どうでした?
「そうだそうだ、冬の南の空はきれいだよね〰、今晩見てみるか〰!」という人もいるかとは思いますが、ほとんどの人は「ふーん…」じゃないでしょうか。『星なんて興味ない。』『そんなこと知っていても役に立たない。』と、すぐ役にたつかたたないかだけで物事を判断する。そういう大人って多いじゃないですか。心に余裕のない大人ってイヤですね。そんな大人たちと酒を飲んでもうまくはないでしょうね。ちなみに中学入試や高校入試には役にたちますが…。
そもそも星なんか見ない人は多いと思いますが、興味がないから関係ないと思う人と、興味をもって星空を見る人の違いってなんでしょう。これが知的好奇心の差であり、勉強する姿勢の差なのです。勉強するに当たって、知的好奇心は最も大切なものです。そうです、子供にとって最も大切なものが知的好奇心なのです。
本物の夜空を見てみよう
小5の理科では星や星座の授業があります。2種類の生徒がいます。ただテキストを覚えるだけの生徒と、実際に星空を見る生徒です。この2種類の生徒は、圧倒的に学力の差、定着度の差が生まれるのです。学力の差、定着度の差以上に、美しいものを見ることで感動したり驚嘆したり、いろいろな感情を引き出すことができることの方が子供にとっては大切なことでしょう。外に出で空を見上げて星を見るだけでいいんです。
子供にこんな簡単なこともさせないで、成績がどうのこうの、受験がどうのこうのといっている親のなんと多いこと。チコちゃんに叱られます。
無駄な旅行をしている家庭
よく長い休みになると子供を連れて旅行に行く家庭も多いようです。が、ほとんどが子供にとって「あーあ、楽しかった」だけの無駄な旅行になっているのではないでしょうか? 旅行だって子供の教育の場、知的好奇心をそそる場にすることもできるっていうのに。
行く前に、目的地はどんな場所で、どんな歴史がある、どんな人々が活躍したなどなど。そういった下調べをしてから旅に行くと、興味も、さらに知的好奇心もどんどん増えていくのです。
子供にそんな簡単なこともさせないで、成績がどうのこうの、受験がどうのこうのといっている親のなんと多いこと。チコちゃんに叱られます。
普段からぼーっと生きているほとんどボケている私にも、真っ当に叱ってくれる「チコちゃん」がいてくれればなー、と思う今日この頃です。
BRAIN TRUST INFORMATION No.139