漢字検定


長年に渡って教師をやっていますと、生徒たちの様々な変化に気付くものです。 そういった変化の一つとして、とりわけ感じるのが子供たちの「語彙力の低下」です。
テストの際の「誤答」というよりもむしろ「珍答」、ときには笑えるものもあります。

その1 「描写」を「ねこしゃ」と読んだ中2男子……猫を6匹も飼っていたことが後日判明
その2 「印象」を「インドぞう」と読んだ小6女子……食卓に象印ポットがあった!
その3 「口車を合わせる」……じゃあ「口裏に乗る」んだね? 等々…。

生活感の欠如

さらに、社会の変化に伴う子供たちの「生活感の欠如」を挙げることができます。青山学院中学の問題に

「瓦屋根の軒下で縁台に腰を下ろしながら遠くで獅子舞の神楽の音を聞き、鏡餅を背にし、お節料理とお雑煮…」

というくだりがありましたが、

「先生、瓦って何ですか?」
「先生、神楽って何ですか?」
「先生、お節料理ってコンビニで売ってるんでしょう?」

これらの声を聞くにつけ、単に「鏡餅」や「神楽」という漢字は一人で覚えて書けるようにもなりますが、 諺・慣用句・故事成語、これにまつわる背景とともに、知識分野を教える必要があると思われます。

中学入試をはじめ、高校・大学入試の出題者は、子供たちの間では、すでに「死語」になっているような、日本の「古き」「良き」ものを追い求めたいという欲求があります。そこで、出題者たちは風俗習慣を基にした知識分野を問う傾向が強いです。

学年別漢字配当表

文部科学省の学習指導要領にある「学年別漢字配当表」も変なものです。

「善悪の区別がつかない」という言い回しがありますが、「善い」が6年生に、「悪い」が3年生に配当されています。つまり3年生には「ぜん悪の区別がつかない」と教えなければなりません。これでは、「善」と「悪」をセットにして比較対照しながらの学習はできません。このような矛盾が数多く含まれているのがこの「学年別漢字配当表」なのです。

同意・反意語はセットにしたほうが、効果的・合理的ですし、ときにはその言葉の持つ背景及び生活感をも生徒に伝えることが重要であるというのがBRAIN の主張です。

例にあげた言い回しなども、中学から大学入試まで出題されることを見ていますと、「学年別漢字配当表」に基づいた漢字語句等の学年割りはまったく無意味なものに思われます。

「柔能く剛を制す」という柔道の精神が、体重別になってから失われつつあることも事実です。大相撲のように、軽重にかかわらず同じ土俵の上で戦ってこそ勝負の醍醐味がある、というものではないでしょうか。そういった意味でも学年別に指導する漢字を割り当てるのには疑問が残ります。

漢字検定の実施

そこでBRAIN では、日本漢字能力協会の「漢字検定」を漢字学習の中心にしました。

学年を問わないことで、時には、小5が中3や高3より上の級をとることもあるでしょう。その結果、下級生は、上級生に追い付こう、追い越そうとする。上級生は、下級生に負けまいとする。そこに純粋で健康的な競争心が芽生え、学習意欲も高まります。

BRAIN は2級から8級までの漢字検定指定会場になっています。保護者の方々の受検も歓迎しております。

日本語には、美しい言葉、豊富な語彙があります。それらを知らずに過ごすのは、大損失です。美しい日本語を知り、しっかり使いこなせるようになりましょう。